光干渉断層撮影:組織検査における非侵襲撮像技術

OCTは、半透明物質の断面画像を非侵襲的に、かつ構造を保持したまま撮像できる画像技術であり、組織形態特性の解析が可能です。赤外光を用いた短コヒーレント干渉法に基づくこの手法では、2~3マイクロメートルの分解能で数ミリの組織への侵入深度が得られます。この技術により、低侵襲外科学、非侵襲応用分野、治療現場での診断学といったさまざまな臨床的応用の機会が可能になります。

組織検査における非侵襲撮像技術としての光干渉断層撮影

内部構造の断層画像は、半透明物質分析の基本であることから、重要な計測手法です。多くの応用事例で、表面付近の構造を深さ3ミリまで検査する必要があります。医学における皮膚組織の検査や製造業界におけるホイル構造の検査がその例です。しかし、超音波検査や磁気共鳴画像法(MRI)などのよく知られている非侵襲断層撮像技術の中には、薄くて微細な層または組織の詳細をマイクロメートル領域で表示するために必要な高分解能が得られないものがあります。OCTは、腹腔鏡手術を中心とする低侵襲外科学、耳鼻咽喉科学、神経外科学および心臓学を含むすべての医学分野において撮像を向上させる可能性を有する技術です。非侵襲的応用が可能な分野には、皮膚科学および歯科医学などがあります。もう1つの考えられるOCTの応用分野は、治療現場での診断学であり、成長市場で費用効果の高い応用法として利用可能です。

バイオフォトニクスのリサーチアライアンスは、これら生体医学的応用の著しい市場成長を見込んでおり、OCT技術におけるその発展を推進してまいります。また、一時的なプロジェクト体制から、恒久的な正規運用へ移行することで、研究施設は助成金給付期間終了後に自己運営可能となることが期待できます。

技術

OCTの測定原理は、光の干渉に基づいています。代表的なOCTシステムは、短コヒーレントの光源、x-yスキャニングミラーによる参照光路および測定光路を有する干渉計、および分光計で構成されています。試料の深さ情報は、異なる試料の深さの後方散乱光および参照光路からの光による干渉を記録し、分析して得られます。A走査といわれる単一方向走査では、測定対象の垂直方向反射形状が表示されます。2D(B走査)や3D(C走査)での撮像には、x-yスキャニングミラーを用いて測定ビームを移動できます。

異なる深さ方向プロファイル(A走査)による断層画像合成の原理。

スーパールミネッセントダイオード、参照光路、試料光路、および分光計から成る、スペクトル領域(SD)OCTシステムの代表的な構成。

試料内部から発生した後方散乱光によるA走査撮像の原理。